生徒数だけ追うと心がすり減る

ピアノ教室を運営している人にとって、「生徒数」というのは多い方がよい。と考える人は多いと思います。

かつて、私もそう思っていました。

私はありがたいことに、いろんな施策がうまくいき、開講1年目から、多くの生徒さんに恵まれました。

しばらくはそれでよかったんです。

教室が軌道に乗り、アルバイトもやめ、1人暮らしのすべての生活費を教室運営で賄えるようになり、とてもうれしかったのを覚えています。

おそらく、結婚して、子どもを持つことがなければ、ずっと「生徒数」を追った教室運営をしていたと思います。

しかし、実際、ワンオペで、だれにも頼れない中、子育てをしながら、多くの生徒をレッスンするのはとてもとても無理がありました。

目次

生徒数を追ってしまうのはなぜか?

生徒数を追ってしまう理由としてはいくつかの理由が入り混じっていると思います。

生徒がたくさんいる=力のある教室というしがらみ

1つの理由としては、「生徒がたくさんいる=人気の教室」だという認識を持ってしまっていること。

そして、「人気の教室=力のある教室」という認識に。

生徒がたくさんいる=力のある教室」、に変換してしまいます。

私は今でこそいろんな物事の見方ができますが、開講当初はそのように思っていました。

今ではSNSが普及していて、余計にそのように感じる方は多くいらっしゃるかと思います。

でも、これらの「=」は少しずつ違っていて、自分で縛り付けてしまっているだけのように思えます。

飯沢紗希

私がいま思うのは、
「生徒がたくさんいる=教室側に受け入れられるだけの余裕がある」
ということです。

生徒がたくさんいる=収入が安定しているという憧れ

そして、お教室をやっているほとんどの先生は教室運営は趣味ではなくお仕事としてされていると思います。

生活がかかっています。

生徒数が多い=収入が多い

「生徒数○○人!」
と聞くと
「月謝が○○円だから…収入は×○○人で…」
と脳内で計算し、憧れを持つ方は多いと思います。

生徒数が多い=収入が多い
というのは間違ってはいません。

しかし、人生幸福度は生徒数に比例するわけではありません。

それは一人一人、生き方が違い、状況が違います。

飯沢紗希

「自分にとって、生徒がたくさん増えることが幸せにつながるのか」
私の場合はNOでした。

たくさんの生徒を指導できることは幸せでしたが…
家族の時間、子どもとの時間、自分の時間。

すべてを犠牲にするほどの生徒数は必要ないと思いました。

ピアノの先生は一生続けたいからこそ

私が至った結論。

ピアノの先生は天職。
一生続けたい仕事だからこそ、無理なく働いていきたい。

疲弊してしまってはおそらく、いつか「やめたい」と思うと思います。

実際、娘が幼稚園に入るまでは、24時間、一切自分の時間がない毎日に、「今の生活、すべてやめてしまいたい」そう思うことが何度もありました。

出産前も、妊娠直後から出産まで続いた吐きつわり。

食べ物も飲み物も一切受け付けず、15分おきに吐き続けていました。
妊娠中に一気に6㎏も痩せました。

病院からすすめられたスポーツドリンクだけは少し口にして、体を起こすとくらくら回る視界に、常に吐きそうな状態、どんどん痩せて体力がなくなっていく体にむち打ち、レッスンをしていました。

長く時間のかかる点滴も、「大丈夫です」といい、受けませんでした。
レッスンに間に合わなかったからです。

産後は産後で、「産後うつの傾向がある」と、病院を紹介されました。

忙しさとストレス、睡眠不足が積み重なり、夫とは衝突が増え、一家が崩壊しそうでした。

自分の心や体調の気にかける余裕もなく、あわただしく過ぎる日常。
気が付いたら「この仕事が好きだから」という気持ちだけでは乗り越えられないいくつもの壁が目の前にありました。

だからこそ、少し「自分」を大切にしたいと思いました。

そして「自分」とその周りにいてくれている、家族、今の生徒を大切にしたい。

人の幸せは人それぞれです。

生徒数が増えることが幸せな人もいると思います。
でも、本来の幸せがそこにない人もいます。

飯沢紗希

目先の数字だけにとらわれることなく、「自分」と周りの本当の幸せを考える。

それができれば生徒数を追わない独自の教室運営ができると思います。

私は自分の信じる道を進んでいきます。

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