音を並べるだけじゃない、「心を奏でる」レッスンを
八王子市Sakiピアノ教室、飯沢です。
ピアノは「弾く」ことだけが目的ではありません。
そこには、感じる・考える・表現するという、子どもにとって大切な心の育ちが隠れています。
特に最近は、正解を求められる学びが増えています。
答えが1つのプリント学習や、点数で評価されるテストの中で育つ子どもたち。
けれど、音楽には「たったひとつの正解」はありません。
同じ曲を弾いても、その子らしい音・その子らしい表現があります。
ピアノのレッスンは、単なる技術指導ではなく、「どう感じたか」「どう伝えたいか」を形にする力、つまり、表現力を育てる時間でもあるのです。
楽譜から読み取り、感じ、それを音として表現する力。
それがピアノの習い事の大切なことだと思っています。
表現力は、感じた“心”から生まれる
「もっとたっぷりした音で弾こう」
「ここは優しい音で」
そう言葉で伝えても、子どもが“感じていない”と音には現れません。

たとえば、
「この曲はどんな気持ちの曲かな?」
「ここで出てくる音、どんな色に聞こえる?」
そんな問いかけを通して、子どもたちは心の中の情景を音にのせる練習をしています。
感情を受け取る力が“表現の始まり”
「嬉しい」
「悲しい」
「ドキドキする」
子どもたちは、日常でたくさんの感情を体験しています。
その気持ちを言葉や音で表すことは、自分を理解する第一歩。
ピアノを通して、「音で気持ちを伝える」ことを経験すると、言葉にできない思いも、安心して表現できるようになります。
それはまるで、心に小さな窓が開くような瞬間です。
音楽的表現は“マネ”から育つ
「表現力」というと難しそうに聞こえますが、最初は“マネること”から始まります。
大人の“感じ方”を伝える
たとえば、先生が「この音はまるくて優しいね」と言いながら弾くと、子どもたちはその音の“まるさ”を感じ取ろうとします。
まだ語彙が少なくても、音を聴いて「やさしい感じ」「キラキラしてる」と返してくれるようになります。
この積み重ねが、やがて自分で感じ、自分の音で伝える力へとつながっていくのです。
感じたことを“自分の音”にするレッスン
【感じたことをどう音にのせるか】
ここに、指導者の工夫があります。
教室では、ただ「上手に弾く」よりも、「自分の音を見つける」ことを大切にしています。
たとえば、
- 同じフレーズを“笑顔で”弾いてみる
- “夜の静けさ”をイメージして弾いてみる
- 体の使い方を細かく変えてみる
といった、イメージと言葉を結びつけたレッスンを取り入れます。
このような体験を通して、子どもたちは“どう弾きたいか”を少しずつ考えるようになります。
それはすなわち、自分の内側にある感情を整理し、音で表現する練習でもあるのです。
表現力は、人生を豊かにする力
ピアノを通して育まれる表現力は、単に音楽の中だけで終わるものではありません。
自分の気持ちを理解し、伝えることができる子は、他人の気持ちにも寄り添えるようになります。
「今日はなんだか悲しそうな音だったね」
そんな言葉を交わせること自体が、心の成長の証です。
ピアノは、“心を使って考える練習”でもあるのです。
音を奏でることは、心を育てること
ピアノの音は、子どもの心の鏡です。
嬉しいときの音、頑張るときの音、ちょっと泣きそうな音…
どの音も、今の子どもの“等身大の気持ち”が映っています。
私たちは、そんな音のひとつひとつを大切に聴き取りながら、子どもたちが自分らしく“心を奏でる力”を育てていきたいと思っています。
上手に弾くことよりも、自分の音で表現すること。
それが、ピアノという楽器が子どもに与えてくれる、何より豊かな学びです。


