ピアノを勉強していると、必ず考えていかなければいけないのがフレーズです。
フレーズとは?
例えば文章を読むとき、どこで息を吸って、どのように抑揚をつけて、単語のどこにアクセントをつけて…
とのようにいろんなことを考えて読みますよね。
それと同じことです。
音楽でもまとまりがあり、息継ぎする所があります。(ブレスと言います)
それもリズムや拍、音形によって抑揚をどのようにつけていくかが変わってきます。
Sakiピアノ教室主宰、飯沢紗希
- 音楽一家に生まれ、3歳からピアノ講師である母親にピアノを教わる
- 桐朋学園大学卒業後、ピアノ教室開講
- 我の強い子どもで、母親と猛烈な親子バトルを経験
自身の経験から、ピアノ練習における親子バトル、子どもの練習に悩む方へ、相談窓口を設けています。
フレーズを見つけてみよう
まず、フレーズを見つけるにはこのような方法があります。
- スラーを探す
- 4小節、8小節、16小節の区切りを意識する
初めの短めの楽譜のうちはこのように見つけていきます。
曲が大きくなればなるほど、フレーズは長くなっていきます。
大きく言えば1曲で一つの区切りです。
その中に少し大きなフレーズがあります。(形式など)
さらにその中にもフレーズがあります。(楽節)
フレーズの最小単位が先程しめした
- スラーを探す
- 4小節、8小節、16小節の区切りを意識する
になります。
フレーズが大切な理由
フレーズが音楽にとって大切な理由…
例えば先程例にあげた文章を読むとき。
変な箇所で息を吸って文章を止めていると違和感があります。
伝えたいことが伝えられませんよね。
その文章に抑揚がないとどうでしょうか?
人間は抑揚を普通につけます。
抑揚がないとロボットのようで、違和感が強く残ります。
音楽も一緒です。
文章と同じ、人間の耳が聴いています。
人間の心で感じています。
まずは音楽の区切りを見つける必要があり、その中の音楽を抑揚をつける必要があります。
それができていないと違和感が残るのです。
「なんか違うよね…」と。
細かいフレーズが処理できていると、丁寧な印象になります。
大きなフレーズが感じられていると、自然に耳に入ってくる流れるような演奏に。
作曲者が伝えたいこと、自分が伝えたいことを伝えたい人に届けるにはフレーズを考えていく必要があります。
フレーズを表現するには書道を意識する
フレーズを表現するときに意識していただきたいのが書道。
子供にはそのときに応じた伝え方が必要ですが、ある程度の年齢になるとイメージしやすいでしょう。
書道といっても楷書ではなく行書のイメージです。
書道とピアノの表現方法、体の使い方は似通っている部分があると思います。
例えばこんなこと…
- 筆が入る瞬間
→フレーズの入り方。入る瞬間は体は緊張状態に。そこから緊張を緩めていきます。 - 筆が抜ける瞬間
→フレーズの抜け方。抜ける瞬間まで意識する。筆先(音が切れる瞬間)まで。 - 重さが変わると太さが変わる
→重さが変わると音の厚みがかわり抑揚が生まれます。 - 抜けてから入る間にも次の画に向かって動きが存在する。
→全て次の音へ向けて動いていく。この動きが止まるのは特別な指示がある場合か最後。 - 全体で一つの作品
→全体のバランスを見ていく必要があります。 - 書き出したら一気に筆を動かす。全体のイメージを持って入る。
→1音目に入る前にせめて1フレーズのことを考えて入りましょう。
さらに具体的な方法(実践編)
今回は初級程度の比較的短く単純な作りの曲を考えています。
長く難しい曲になってくると、音形やリズム、拍などさまざまな要因が複雑に絡み合い、一概にこれとは言い切れません。
ではまず楽譜を見て、どのようにフレーズを表現していけばよいか。
まずフレーズを見つけたらはじめと最後をチェックしてみましょう。
特別な指示がない場合は
はじめはスッと入って、最後もスッと抜ける。
まずはこれだけを意識するだけで綺麗にまとまっていきます。
クレッシェンドやデクレッシェンドが丁寧に書かれている場合もあります。
このテクニックは初期の頃に身につけておきたいテクニック。
ここで習得しておかないと、だんだん複雑になっていくので、フレーズが処理できないままになってしまいます。
実践のためのテクニックのご紹介
次にこれを実践するためのテクニックをご紹介します。
もし先程の説明でうまくいくようであればそれでいいですし、もし体のどこかに無駄な動きがあるのであれば見直す必要があります。
ではご紹介します。
- フレーズ前ではたっぷり息を吸いましょう。
- 音を出す瞬間、体は緊張状態になります。(体の筋肉が締まります)
- 繊細なものに優しく触れるようなイメージで準備します。
- ゆっくり息を吐きながら緊張を徐々にゆるめていきます。
- フレーズの最後で音を切るときには、また次のフレーズに向かって息を吸いながら抜いていきます。
一見難しそうなのですが、これはピアノを弾くときに必要なテクニック、緊張と弛緩を使った弾き方になります。
緊張状態、緩んだ状態、それぞれに呼吸も密接に関係していきます。
この緊張と弛緩があるからこそ、曲に抑揚が生まれてきます。
ブルグミュラーの25の練習曲より、2番のアラベスクを使って簡単にですが解説しています。
こちらの動画をご覧ください。
全ては楽譜に出ている
結局のところ、楽譜にほぼ全てが書かれているのです。
その内容を読み解くことができるようになるまではたいへんなのですがまずは曲を弾いて音楽を感じること。
人は美しいものを見ると美しいと感じ、美味しいものを食べると美味しいと感じます。
当たり前のことなのですが、音楽においては急に難しく感じてしまうのです。
私はこの記事を書いている今、1歳の娘を子育て中ですが、1歳の子供でも音楽を感じて体を動かしています。
人間の本能として備わっているのではないかなと思います。
まずは先述したフレーズを見つける方法
- スラーを探す
- 4小節、8小節、16小節の区切りを意識する
これらを使って短いフレーズを見つけてみる。
あとはしっかり音楽を感じながら歌ってみる。
そして歌うように弾く。
これが大切です。
テクニックというものはどのように音楽を作っていくかを考えていく上で必要になってきます。
まずは音楽を素直に感じること、これが最も大切なことです。
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