八王子市Sakiピアノ教室、飯沢です。
「うちの子すぐ気が散ってしまって…」
「座っていられないのは性格?それとも年齢のせい?」
レッスンや日常生活の中で、お子さんの集中力のなさに悩まれている保護者の方は少なくありません。
実際にレッスンをしていてでも保護者の方から相談を受けますし、私は実際に2歳と5歳の母親ですから気になるのも本当に理解ができます。
でも、集中力は生まれつきではなく、今から育てていける力。
今回は、実際にピアノレッスンをしていて感じた「集中力が続かない原因」と「今日からできる関わり方」について、家庭でもすぐに実践できるヒントを交えてお届けします。
「集中できない」は個性ではなく伸びしろ
「うちの子、じっとしていられない」
「すぐ他のことに気がそれてしまう」
こんなお悩み、子育て中なら誰もが一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
特に未就学児は、まだ脳の発達の途中段階にあり、集中する力自体がこれから育っていくものです。
ですので、「うちの子は集中力がないから…」と心配しすぎなくても大丈夫。
それはまだその力を使う機会や育てる場が少ないだけかもしれません。
大切なのは、子どもが「集中してみよう」と思える環境や体験を、日常の中にどうつくっていくかということ。
集中力は、鍛えれば確実に伸びる力なのです。
ピアノレッスンが集中力育成にぴったりな理由
ピアノレッスンは、子どもの集中力を育てるのにぴったりな習いごとです。
理由のひとつは、目・耳・指など複数の感覚を同時に使うこと。
たとえば、楽譜を見て音を読み取り、自分の出す音や先生の声に耳を傾け、自分の指を思いどおりに動かして音を出します。
この一連の流れの中で、子どもは自然と「ひとつのことに意識を向ける練習」を積み重ねています。
さらに、ピアノには「音が出る=結果がすぐにわかる」特性があります。
つまり、自分の動きと結果のつながりをすぐに感じられる。
これは集中力だけでなく、「注意深く取り組む力」や「失敗からの修正力」も育ててくれます。
「さっきは速すぎたから、次はゆっくり弾こう」
「右手はうまくいったけど、左手はもう一度」
など、自分なりに考えながら挑戦する経験が、集中する力の土台をつくっていくのです。

また、レッスンでは
- 最後まで弾ききる
- リズムを正しく演奏する
- 弾けない個所を繰り返し練習して弾けるようにしていく
など、短時間で達成できる小さな目標が設定されるため、「今だけ集中する」経験が積みやすいのも特徴です。
この「短い集中」の積み重ねが、のちに「長く集中できる力」へとつながっていきます。
加えて、ピアノレッスンは回を重ねるごとに課題や曲が変わっていくため、「またやってみたい!」という気持ちが刺激されやすいです
声かけしながら、子どもの集中をほどよく引き出し、自信ややる気につなげていきます。
このように、ピアノレッスンは楽しみながら集中力を伸ばせる理想的な環境。
楽しく音楽にふれる中で、気づけば子どもたちは「今に集中する力」を育んでいるのです。
家庭でできる!集中力を伸ばす声かけと環境づくり
教室だけでなく、ご家庭でも集中力を育てる関わり方はたくさんあります。
まずおすすめなのは、「区切り」と「目的」をはっきりさせた声かけ。
たとえば、
「このページを一緒にやったらおしまいね」
「この曲を3回弾いてみよう」
など、終わりが見える声かけは、子どもにとって集中しやすくなります。
また、
「がんばって最後まで弾けたね」
「さっきより上手になったよ」
といった声掛けも、集中しようという意欲を引き出します。
環境面では、テレビやおもちゃなど気を散らすものを一時的に遠ざけ、
ピアノの前に座る=今はピアノの時間
というリズムを習慣づけるのがコツ。
家庭での取り組みは小さなことの積み重ねでOKです。
大切なのは、
- 集中しやすい環境
- 声かけ
を意識すること。
それだけでも、子どもの集中力はぐっと変わっていきます。

※習慣化については過去にいくつか記事を出していますので、そちらを参考にしてみてください。
▶ピアノの先生が提案する、ピアノ練習の習慣化「5つのコツ」
▶ご褒美作戦でも大丈夫!ピアノは習慣化が大切。
大人が焦らず、あたたかく見守ることが一番のサポート
集中力を育てるうえで、何よりも大切なのは周りの大人の関わり方です。
つい
「うちの子、また集中できてない…」
と心配になったり、
「もう少しちゃんとしてくれたら…」
と感じてしまうこと、ありますよね。
でも実は、大人が焦れば焦るほど、子どもにはプレッシャーとして伝わってしまい、「やらなきゃ」と思えば思うほど集中できなくなる、という悪循環が起こりやすくなります。
大人も一緒ですが、子どもの集中力には波があります。
今日はしっかり取り組めたのに、明日は全然ダメ…なんてことも日常茶飯事。
でも、それでいいのです。
発達の途中にいる子どもたちは、日々の気分や体調、ちょっとした出来事にも大きく影響を受けながら少しずつ成長していきます。
大切なのは、「今できていること」に目を向け、変化や小さな頑張りを見逃さずに認めてあげることです。
たとえば、
「今日は5分間も座っていられたね」
「さっきより音をよく聴いて弾けていたね」
など、具体的な行動を言葉にしてほめることで、子どもは「自分の頑張りをわかってもらえた」と感じ、自信と安心を得られます。
そしてその安心感が、「次もやってみよう!」という意欲を生み出す土台になります。
また、子どもにとって「見守られている」「信じてもらえている」という感覚は、集中力の持続にも大きく影響します。
「失敗しても大丈夫」「できなくても、見捨てられない」という安全基地があるからこそ、子どもは挑戦する心を育てていけるのです。

集中力は、単に静かに座っていることや長時間作業する力だけではありません。
「今やっていることに向き合おうとする気持ち」を育てること。
そこには、大人のあたたかいまなざしと、ほどよい期待が欠かせません。
焦らず、比べず、今のわが子のペースに寄り添いながら、ひとつひとつの「できた!」を一緒に喜ぶこと。
それが何よりのサポートになり、結果として集中力という“未来に活きる力”を育てることにつながっていくのです。
焦らず、比べず、わが子の成長を信じるサポートを
私含め、子どもの集中力に悩むご家庭は多くありますが、「うちの子は集中力がない」と決めつける必要はありません。
集中力は、年齢や発達段階、興味関心、そして環境によって大きく変わる「育つ力」です。
ピアノレッスンは、その集中力を育てるのにぴったりの習いごと。
耳・目・指を使い、目の前の課題に取り組む中で、「今」に意識を向ける経験を重ねていきます。
とはいえ、子どもたちにとって集中し続けることは簡単ではありません。
日によって気分や体調も違いますし、集中できない日も当然あります。
そんな時こそ大切なのが、周りの大人の関わり方。
焦らず、比べず、子どものペースを見守ることで、「安心して挑戦できる環境」を作っていくことが大切です。
大人のあたたかいまなざしと、小さな「できた!」を見つけてあげる声かけが、子どもたちの自信と集中力を育てるカギ。
ピアノを通じて、「できるようになる喜び」と「やってみようという気持ち」を大切に育てていきましょう。