ピアノ中級以上の方向け:フレーズを長く続かせる方法

フレーズについて、悩まれる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

私も高校3年生ぐらいまで、それはそれは悩みました。
音楽を感じる力はそれなりにあり、表現することもそれなりにできていた。

でも

なんか違う。
フレーズがどうしても細切れになるし、
なんで私の音ってこんなにうすっぺらいんだろう…

と、ずっと悩んでいました。

それは脱力とも大きく関係していましたが、今回はフレーズに注目していきたいと思います。

この記事は初心者の方には少し難しい表現が出てきます。

  • フレーズの基礎を学んでいて、さらに大きなフレーズ作りに悩んでいる方
  • 自分で試行錯誤する力のある方

のみご覧ください。

フレーズを長く続ける方法

フレーズが細切れになってしまう方、またはそのように指導をされている方は日頃から多くの注意を払って弾いていると思います。

私がフレーズが長く感じられなかったときから、現在に至るまでの変化をまずはご紹介します。

以前の私

  • 感情移入して弾いていた
  • 一つ一つを丁寧に表現しようとしていた
  • 呼吸を意識したことがなかった
  • 重心が上の方にあった
  • 上の方で歌っていた

変化したこと

  • 弾いている自分を客観視することができるようになった
  • 一つ一つの要素を全体を見て組み合わせていけるようになった
  • 呼吸を意識するようになった
  • 重心を下の方に感じられるようになった
  • 腹(みぞおち、丹田らへん)で歌えるようになった

このような変化を経て以前よりもフレーズを長く感じられるようになりました。

そしてこれらを身につけられると本番での緊張状態がうまくコントロールできるようになりました。

私の場合、呼吸が大きなカギを握っていました。
深く深く呼吸を入れていくと、音楽が変わっていく実感がありました。

弾いている自分を客観視する

弾いている自分を客観視することはとても大切です。

音楽が感じられる人ほど音楽にのめり込んでしまいます。
一見いいことに思えるのですが、弾いている自分の感情はコントロールできなければいけません。

感情的になる…
という言葉を聞いてどういう印象がありますか?

制御ができず、雑になる…

私はこんなイメージを持ちます。

感情に揺さぶられるのではなく、感情をコントロールしなければ人には伝わりません。

感情的になるとフレーズは細かくなってしまう。

音楽にのめり込んでしまうと呼吸を浅いところでしてしまうのが一つの原因。

音楽を感じるのは大切なことです。
その自分はなくさず、その自分を上の方でガラス越しに見てみましょう。

演奏する自分を客観的に観察する。
のめり込んできたなと思ったら少し体を楽にして、呼吸を深く入れてみる。

それだけでも、フレーズはより長く続くようになります。

一つ一つの要素をバランスよく組み立てる

ピアノを弾く時にはいろんなことを考えて弾きますよね。
そして部分練習はとても大切です。

部分練習はなんのためにするのでしょか?

  • 特定箇所の反復練習
  • 動きの確認
  • 動きの記憶
  • 音色作り
  • ペダリングの確認
  • テンポを上げるために苦手な箇所の克服

などなど、大切な練習です。

でも、その部分練習をつなぎ合わせるだけでは全体のバランスはチグハグになってしまいます。

ではどうすればチグハグにならずにパーツを組み合わせていけるか…

まずはどんなに長い曲でも全体の構造を確認しましょう。

フレーズの組み立て方、練習方法

1曲で1つの山です。

その山はどんな形?
わからない時は師事している先生に確認してみましょう。

さき先生
さき先生

余談ですが…
先生との関係性にもよりますが
「全体の構成を考えてみたのですが…」
と自分の意見を述べつつ質問してみましょう。

レッスンを受ける際に受け身ばかりにならず、能動的に受けることが大切です。
あらかじめ質問や考えを持ってレッスンを受けると得られるものが大きく変わります。

そして形式を簡単にでいいので確認し、その中でもどのように組み立てていくべきか考えましょう。

次に形式の中の楽節規模での確認。
曲の大きさにより、大楽節(たいてい8小節)または小楽節(たいてい4小節)で確認していきます。

そして一番小さな動機(たいてい2小節)の確認。

ここで忘れてはいけないのが、1つの工程をしたら1つ前の工程を再確認することです。

最後の動機まで考えていくと細かなフレーズになります。

1つ細かなフレーズが確認できたら1つ大きなフレーズでバランスを確認します。

そしてまた1つ大きなフレーズ…

このような感じで1曲を組み立てていきます。

組み立てる手順

  • 全体の分析をする
  • 形式を考えてみる
  • 大きなフレーズから小さなフレーズの順に作ってみる
  • 一つ前の大きさのフレーズに戻って確認してみる

部分練習の時も一緒です。

部分練習の場合、多くは動機よりさらに細かい箇所を確認していることも多くありますよね。
1音だけ…とか2音の繋がり…とか。

例えばそこだけ切り取ってうまくいったとしても、
動機規模で考えたら?
小楽節規模で考えたら?
大楽節規模だと?

というふうに少しずつ範囲を広げていきます。

この確認作業はとても地道ですがフレーズを長く作るのには必要です。

フレーズとフレーズの間を研究すること

フレーズがどうしても細切れになってしまう方は、フレーズとフレーズの間の意識が浅いことがあります。

フレーズを長く続かせる場合はフレーズの最後を「終わり」とばかり気にするのではなく、「このフレーズの終わりだけど、次に向かって進む音」と考える必要があります。

先ほど見たように、長いフレーズを考えたときに、もしかしたら山の途中を登っているかもしれません。

小さな丘を越えただけかもしれません。

木を見て森を見ず。

もっと引いてみた時に、どんなところか?

それが考えられるようになると変わっていくはずです。

さき先生
さき先生

1音1音、細かいフレーズの練習や研究、追究はとても大切です。
それができたら、少し引いて観察してみてください。

呼吸がとても大切な鍵を握っていた

もう一度ここで先程あげた変化したことを見てみます。

変化したこと

  • 弾いている自分を客観視することができるようになった
  • 一つ一つの要素を全体を見て組み合わせていけるようになった
  • 呼吸を意識するようになった
  • 重心を下の方に感じられるようになった
  • 腹(みぞおち、丹田らへん)で歌えるようになった

上2つ目まで細かくみてみましたが、下3つは全て呼吸が関係しています。
まとめてご紹介します。

呼吸を意識したきっかけ

呼吸、正直なところあまり大切さを理解していませんでした。

ピアニストにはコンサートホールの客席にも息遣いが感じられるほどの深い呼吸をする方もいらっしゃいます。
地元で師事していた先生も、私が弾いている隣でよく唸っていました。

呼吸の大切さを知ってはいましたが、注意されたこともなく、なんとも思っていませんでした。

ではそんな私がどうして呼吸の大切さに気づいたかというと、大学生活が大きいです。

大学で2つの経験をしました。

1つ目の経験

大学は桐朋学園大学ですが、トップレベルの人の演奏をとても間近で聴くことができました。

その時に空間が動くほどの深い呼吸。
それも1人だけではなく、トップレベルの多くの人がそうだったのです。
ピアノだけではなく、息を使わない弦楽器の人も同様でした。

呼吸の音がする人もいますが、音がするわけでもなく、空気だけが動く人もいました。

呼吸の大切さを実感し、自分で音楽のフレーズ作りについて試行錯誤を始めたきっかけです。

2つ目の経験

大学の体育の授業の時に呼吸について学びました。

一般的な体育の授業ではなく

  • 呼吸法
  • 精神統一の仕方
  • 緊張についての考え方
  • 体の使い方
  • 体のメンテナンスの仕方

などが授業で学べました。

体育で学ぶ呼吸法は私に本番前の精神統一、緊張をいい緊張につなげる方法にダイレクトに変化をもたらしました。

その副産物…と言ってはなんですが、演奏においてもいい影響があったのです。

それが深いところで呼吸をするということ。

今まで悩んでいたことが「点と点がつながった」感覚になりました。

具体的な呼吸の感覚

ではどういうふうに呼吸を入れていくかということなのですが、文字での説明が少々難しいです。

呼吸を深く入れて、吐くときに体の重心を下に下げていきます。

文字で書くとこれだけなのですが、実際やってみるとなんのことだかさっぱりわからないかもしれません。

柔道などの呼吸と同じだと思います。

この呼吸をしながら演奏していきます。
実際の呼吸は頻繁に行います。

ただ、重心は下に下ろしたままです。
小さなフレーズの切れ目も重心は下。

そうしていくことでフレーズが長くつながります。

呼吸法の身につけ方

これも私が実際に授業でしていた方法をお伝えします。

  1. 椅子に深く座ります
  2. 足をガニ股で大きく広げます
  3. その真ん中に両手を入れ、椅子の縁を持ちます
  4. 息を深く吸います
  5. 椅子を持ち上げるように、しかし体は沈ませるように息を吐いていきます

初めは椅子で感覚を身につけますが、感覚がわかれば立ってもできます。
感覚がわかれば手を真ん中につかなくてもできるので、本番前の精神統一にも使えます。

私も発表会など、裏方でバタバタ動いた後の演奏だと、緊張する間も集中する間もないですが、ステージに立って椅子に座ってからこの呼吸法をすることで集中することができています。

ピアニストは肩では歌わない

まず深い呼吸ができると、重心が下がります。

ピアニストは肩では歌いません。

小さいお子様でも肩で音楽を表現しようとしてしまいます。
音楽が感じられるのはとてもいいことです。
肩で表現してしまうのもよく分かります。

でも、肩を頻繁に動かす、肩を上げて歌うということしてしまうと、フレーズが細切れになってしまうんです。

重心が上がればフレーズが途切れる…と考えていくと分かりやすいかと思います。
肩を上げての奏法は結局重さが指先にいかず、表現しているつもりになっていることが多くあります。

テクニックの観点でも、肩は上げずに歌える方が良いです。

まだ小さいうちは長いフレーズもなく、良いのですが、フレーズが長くなってくるソナチネに入る頃には気にして直していく必要があります。

では一体どこで歌うのか…?

感覚としてはお腹のほうです。
みぞおちあたりから足の付け根に向かって深く重心を下ろしていく感覚で歌います。

声楽の方が声はてんこつから、重心は下げて歌っているような感覚と近いかと思います。

実際に息ができるのは口と鼻ですが、息を吸った時に上がってくる重心を下げながら吐く。

この呼吸ができると演奏の姿勢も安定し、コントロールもしやすくなります。

まずは自分で研究してみる

今回記事にした内容はほんの1例に過ぎません。

冒頭に書いたように

自分で試行錯誤することが大切です。

その時例え答えに辿りつかなかったとしても、違う方向に進んでしまったとしても、無駄な時間ではありません。

「点と点が線でつながった」

私にもあったように、この感覚が経験できるのは点を知っている人だけです。

自分が目指したい演奏をしている人をよく研究してみてください。

  • 体の使い方
  • 呼吸
  • 姿勢

全て、その音楽、音色を作るために必要な動きのはずです。

次に、真似してみる。

体格も含め、自分との相性を考えてみる。

こんな感じで研究してみてください。

そして一番身近にいる先生。
一番よくわかってくれているはずです。

感じたこと、悩んでいること、聞きたいことは相談してみましょう。


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