ピアノをお子さまの習い事にお考えの親御様。
ピアノの習い事を始める前にぜひ知っておいていただきたいことがあります。
ピアノの習い事は小さな成功体験を積み重ねていきます。
表ではその小さな成功体験ばかりが取り上げられますが、裏ではその何十倍もの挑戦をし、失敗を繰り返しています。
残念ながら、失敗なしで成功を積み重ねられることはありません。
その失敗を含めた過程が、成功体験よりも大きな経験となります。
Sakiピアノ教室主宰、飯沢紗希
- 音楽一家に生まれ、3歳からピアノ講師である母親にピアノを教わる
- 桐朋学園大学卒業後、ピアノ教室開講
- 我の強い子どもで、母親と猛烈な親子バトルを経験
自身の経験から、ピアノ練習における親子バトル、子どもの練習に悩む方へ、相談窓口を設けています。
ピアノの習い事に挑戦や失敗が必要なワケ
ピアノを弾くということは、運動の面でも、脳の面でもとても難しいものです。
大人が思っている以上にさまざまな困難があります。
日々ご家庭での練習が欠かせない、というのも大きな理由です。
毎日の練習がなければ、上達するのが難しいものです。
毎日の練習が必要なほど、難しいことをしていると考えていただいても良いかと思います。
毎日の練習はなぜ必要?
毎回のレッスンでは今習得していることの一歩先のことをレッスンで行っていきます。
そしてその内容を家庭でたくさん挑戦し、失敗し、またレッスンで新しい内容を学んでいきます。
家庭での練習が足りなければ、ずっと同じところを繰り返しレッスンで学ぶことになります。
レッスンは新しいこと、わからないこと、一歩先の踏みこんだこと、自分ではできなかったことを中心にレッスンしていきます。
では家庭での練習は?
家庭での練習ではレッスンで行った内容の復習、何度も繰り返し練習して習得、新しい曲の予習、これらの過程をおこなっていきます。
学ぶ→挑戦する→失敗する→挑戦する→習得する→学ぶ…とサイクルを回していく必要があります。
挑戦と失敗を繰り返して習得していく
挑戦と失敗は成功には欠かせないものです。
1つの成功体験には100以上の挑戦と失敗があるかもしれません。
そして練習が足りていないと、ずっと挑戦、失敗のサイクルから抜け出せず、成功(習得)の過程にすすめません。
そのため「楽しくない」「いやだ」につながっていきます。
ピアノを続けるためにも、本人のモチベーション維持のためにも、家庭の練習時間の確保をお願いしたいと願う先生がほとんどです。
お子さまが失敗を繰り返しているときにどうしますか?
ピアノを習い始めるときに1度考えていただきたいのが「お子さまが失敗を繰り返しているとき、どうしますか?」ということです。
大人は失敗の先に成功がある、ということは分かります。
しかし、子どもはそこまでの経験がまだありません。
「もう弾きたくない」「ピアノやめたい」「楽しくない」
失敗ばかり繰り返しているとそんな言葉が自然と出てきます。
そんな時、どうしますか?
「もうやめなさい!」というのか、
「少し気分転換してもう一度チャレンジしよう!」というのか、
「先生に相談してみたら?」というのか、
「一緒に頑張ってみようか!」というのか。
「そんな時に相談できる先生なのか?」というのもお教室を考えるときに大切な問題です。
失敗は悪いことではない
「失敗せずに成功する方法はないのか」
…ありません。
あくまで、ピアノの世界ではありません。
ただ、子どもによってはその失敗を一般的な「失敗」と感じない子もいます。
日ごろから失敗を容認され、さらに挑戦し、その後に成功体験をしてきている子は、ほかの物事においても「失敗」を「失敗」と思いません。
成功への道筋は幾通りもあり、「失敗した」ということは「成功への道」への確立が高まっていくことだと思います。
なので失敗は成功のもと、なんです。
レッスンでは正しい道をしめすことはできる
レッスンで近道や正しい道をしめすことはできます。
ただ、それは「練習しなくても上達する方法」ではありません。
間違えた方向に進みそうなとき、行き止まりになってしまった時にこっちだよ!としめすことはできます。
宝物までの道筋を教えてあげることはできるけれど、そこへ行くのは本人です。
いくらレッスンで宝物までの道筋をきいても、何日も思い出さなければ忘れてしまいます。
それと同じことです。
しっかり自分で進む気のある子には、とても役立つ情報かもしれませんが、自分で進む気のない子にはただの情報でしかありません。
成功への道筋を進むのは本人であるということは、知っておいていただきたいことです。
失敗はつきものだという考えを大人はもって接する必要がある
ピアノの習い事はきらびやかな習い事に思えるかもしれません。
しかし、実際はとても地道な努力が必要な習い事です。
子どもがピアノを習いたい、といった時に、大人にこの心構えがあるかないかで長く続くか、はたまたすぐにやめるか、同じところを堂々巡りのように成長が難しいか、が決まってきます。
ピアノの習い事の本来の楽しさは「自分で音楽を表現できること」だと思います。
そのレベルに達するまでに、いろんな失敗を繰り返し、さらに挑戦していきます。
そんな時に支えてあげられますか?
それとも「もうやめなさい!」とさじを投げますか?
ピアノの習い事は親の忍耐力がとても必要な習い事です。
親子バトルもたくさんおきます。
その氷山の一角に外から見ればきらびやかに感じる世界があります。
たくさんの厳しい意見を書きましたが、それでもきちんと向き合えば、得るものはとてもたくさんある習い事です。
ぜひピアノの習い事をはじめる前に、立ち止まって考えてみてください。
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