ピアノをはじめて練習が習慣化した後。
習慣化ができたら次に見直したいことが「練習の内容」。
ただ時間だけをこなす練習は、やりがちですがあまり必要ではありません。
短時間でもしっかり質の良い練習ができると毎回充実したレッスンが受けられるでしょう。
質が上がったら時間を増やす。
そしてまた質を上げる。
また時間を増やす。
この方法で、練習の質と量をあげていってください。
Sakiピアノ教室主宰、飯沢紗希
- 音楽一家に生まれ、3歳からピアノ講師である母親にピアノを教わる
- 桐朋学園大学卒業後、ピアノ教室開講
- 我の強い子どもで、母親と猛烈な親子バトルを経験
自身の経験から、ピアノ練習における親子バトル、子どもの練習に悩む方へ、相談窓口を設けています。
練習の質をあげるにはこれを気を付けよう
レッスン前後の過ごし方
- レッスン前よりレッスン直後の練習が大切
- レッスンを録音、録画しておく(先生に確認してからにしましょう)
- レッスンではしっかりと内容を理解しながら受ける
- レッスン直後に次のレッスンまでに直すところの確認をする
練習の仕方(心得)
- だらだら練習せず、リミットを決めてとりくむ
- まずは自分で挑戦して試行錯誤してみる
- 1日の目標を決めて取り組む
- 気づいたことや注意するところは自分で楽譜に書き込みをしておく
- うまくいかないところ、レッスンで確認したいところはチェックをいれて聞けるようにしておく
- ミスを記憶し、見直しができるように、部分練習多く取り入れる
効果的な練習方法などは細かくみていけばたくさんあります。
おそらくレッスンでそれぞれに合った指導があると思いますので、今回は練習に取り組む心得のようなものをご紹介します。
レッスン前後の過ごし方
まず、練習の質があがるとレッスンの内容が変わっていきます。
基本的にレッスンと練習は違うのです。
レッスンでは今の課題に向き合い、そのための解決方法や練習方法、今後身につけていきたいことを取り上げています。
なので、その課題がクリアできるようなアドバイスを全て無視した自己流の練習だと、また次のレッスンで同じことを指導することになります。
先生にアドバイスをもらったことは忘れないように、次のレッスンまでにそこに気を付けて取り組めるようにしましょう。
そのためにはレッスン内容の確認が必ず必要です。
記憶がはっきりしている内に先生にアドバイスをもらった方法をまずはきちんとこなしてから予習やその他の復習を行なっていきましょう。
忘却曲線では1時間後に56%忘れる
実は家に帰った時には半分程度の内容を忘れている可能性があります。
(参考:エビングハウスの忘却曲線)
ピアノの場合は、運動神経を使い、実際にレッスンで弾きます。
さまざまな形でのインプットとアウトプットを同時に行うので、レッスンの内容や受け方によってはもう少し多く記憶に残る可能性があります。
しかし、なるべくその日のうちに復習。
これを気を付けるだけで次のレッスンまでの練習内容が変わります。
インプット:アウトプットの比率は3:7がベスト
インプットとアウトプットの比率は3:7がベストとされています。
レッスンではインプットとアウトプットの両方を行っていきますが、比率としてはインプットのほうが多めです。
なのでおうちでのアウトプット(練習)時間を設け、長期記憶としてとどめておく必要があります。
私のレッスンの場合、おうちでの練習が足りていないと感じたら、アウトプットが多めのレッスンにしています。
参考:学びを結果に変えるアウトプット大全レッスンを録画、録音させてもらう
レッスンをより効果的に受けられる方法は録画、録音して何度も確認することです。
しかしこれは先生によって「録画、録音ダメ」な方もいらっしゃいますので、一言お伺いしてからにしましょう。
私のレッスンではご自由に撮っていただいて構いません。
録画、録音のメリットは
- 忘れやすい細かいニュアンスが分かる
- レッスンでは理解できなかったことが再確認できる
- 自分の演奏を客観的に見直せる
しかし録画、録音しているからといって、レッスンを適当に受けてはいけません。
あくまでレッスン内容の確認のために使いましょう。
いかにレッスンの内容をいかした練習ができるかが大きなカギを握っています。
そうすると次のレッスンではさらに深い内容に踏み込めます。
練習の仕方
練習の仕方も大きく影響があります。
練習時間がある程度ある場合、なおさら内容を見返すことが必要です。
今の練習時間に余裕が出てきたり、壁にぶつかったら、まずは練習時間を増やすのではなく、練習の中身を見直すタイミングです。
ダラダラ練習するのは時間の無駄
ダラダラ練習するのははっきり言うと時間の無駄です。
ダラダラほか事をかんがえて30分練習するのであれば15分に減らしてみましょう。
30分で練習していた内容を15分で行えるように工夫してください。
ダラダラ弾くより、そちらのほうが時間を有効的に使えます。
たった15分の練習で何ができるか。
それを知っているだけで、練習の質が上がっていきます。
(もっとも、練習の質と量、どちらも上げていけるのがよいです)
わたしも過去は練習に集中できず、ひたすら時間をこなすだけのダラダラ練習をしていました。
そんなときに1冊の本に出合いました。
青柳いづみこ先生著作の『ピアニストは指先で考える』という本。
「わたしピアノ弾いてるとき何考えてるんだろう」と当時思った記憶があります。
もちろん、さまざまな転機があったのですが、自分の考えの甘さに気づいてから、1音1音に神経を集中させ、練習をするようになりました。
まずは自分で挑戦して試行錯誤してみる
新しい課題にぶつかったとき、まずは自分で挑戦を繰り返してみましょう。
自分でいろいろ試してみる。
その試行錯誤があると、レッスンが有意義になります。
なぜかというと
- 解決したいと思ってレッスンを受けるため意欲的に受けられる
- 先生にも試行錯誤の跡が分かるので、アドバイスがしやすい
- 能動的にレッスンが受けられる
というメリットがあります。
「出来ない~」で終わらせるのではなく、少し頑張って挑戦してみることは大切なことです。
1日の目標を決めて取り組む
ダラダラ練習してしまう1つの理由が、なんとなく練習しているからです。
1日の目標はとっても小さなもので大丈夫です。
- この小節を両手で弾けるようにしよう
- ここまで片手で弾けるようにしてみよう
- この和音をきれいに弾けるようにしよう
本当に些細なことで構いません。
この目標設定は「1日で達成できる内容」にすること。
毎日未達成のまま進めることで、その目標が意味のないものになってしまいます。
「どうせできないし」という気持ちがうまれます。
なので「毎日ささいな目標を達成する」という小さな成功体験を積み重ねていけるように目標設定をしていきましょう。
気づいたことは自分で楽譜に書き込むクセを
自分で楽譜と向き合って、気づいたことは都度書き込んでいきましょう。
もし、先生に見られるのが恥ずかしい場合や、気になる場合は別にコピーなどをとってそちらに書き込みをしましょう。
どんなことを書き込むかというと…
- この曲は何調だな、何拍子だな
- ここの小節とここの小節は一緒だな
- この和音と次の和音はこの音が一緒で、ここが違うな
- ここは音がとんでるから気を付けないといけないな
- この音ミスしやすいな
ということ。
そして各記号の意味も、分からないものは調べて書いておくとさらに良いと思います。
自分で楽譜と向き合うことで得られるものが大きく変わります。
レッスンで確認したいところはチェックをいれて聞けるようにしておく
レッスンをより効果的に受ける方法は、質問を考えておくことです。
自分で楽譜、曲と向き合ってみてもわからなかったところ、どうしても弾きにくいところは、レッスンで必ず聞けるようにチェックを入れておきましょう。
質問されていやな気持ちになる先生はいないと思います。
しっかり向き合った証です。
質問することが分からない
分からないことが分からない
という場合はもう少し向き合ってみる必要があるかもしれません。
ミスを記憶し、見直しができるように、部分練習多く取り入れる
部分練習って大切なんです。
はじめから最後まで通す練習がダメなわけではありません。
部分練習が多くの先生に推奨される理由は以下の通り。
はじめから最後まで通して弾いて、ミスしたところ、弾きにくいところ、曲想、全部覚えられていますか?
覚えられていないという場合は、自分で自分の演奏を見直しができない状況です。
音というのは、消えていってしまうのもです。
それを見直すにはその都度気を付けていく必要があります。
自分の演奏が記憶できる範囲で練習をしていきましょう。
もちろん通す練習というのも必要ですが、とても集中力がいるものです。
弾けない部分を克服していく。
納得いかない部分の音楽の流れを考える。
その場合には部分練習が必要不可欠です。
先生はどんな練習をしていたか分かります
ピアノの先生はたいてい幼少期からピアノを続けているので経験が豊富です。
音を聴けばその子が前回のレッスンからどのように曲と向き合ったかが分かります。
音を聴かなくても、楽譜をみても分かりますし、弾き始めの行動でも分かります。
しっかり向き合った子にはさらに新しい内容を。
向き合えていない子には前回の内容の確認を。
「何回も同じこと言われるな」と思う場合は、それが直さないといけないけれど直せていないところです。
先生にとってもとても歯がゆい気持ちでレッスンをしているはず。
練習の質を少しずつ上げていき、有意義なレッスンが受けられるよう気にしてみましょう。
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