「親が共働きで中々練習に付き合ってあげられないんです」
と、よく保護者の方からご相談をいただきます。
ピアノの習い事は本人の力だけでできるようになるのは小学校入ったあたりから。
(当教室では小学生になったら1人で練習できるように声掛けを行っています)
「ピアノの練習を見てやらなくちゃ」と、おうちの方の負担になってしまってはダメだと思っています。
でも放任すぎても中々身についていきません。
ピアノの習い事は難しいことにきちんと向き合って練習し、なんども壁にぶつかり、それを乗り越えた先に本来の楽しさが存在します。
おうちの方もそれを理解したうえでピアノの習い事に向き合ってあげてほしいと思います。
今回は共働きのご両親に私が行っているアドバイスをご紹介します。
Sakiピアノ教室主宰、飯沢紗希
- 音楽一家に生まれ、3歳からピアノ講師である母親にピアノを教わる
- 桐朋学園大学卒業後、ピアノ教室開講
- 我の強い子どもで、母親と猛烈な親子バトルを経験
自身の経験から、ピアノ練習における親子バトル、子どもの練習に悩む方へ、相談窓口を設けています。
練習に付き合えなくても声掛けは行ってください
小学生になるまではなるべく5分でも10分でも練習を見てあげてほしいのが本音ですが、中々時間が取れないのも事実。
もしその場にいても子供が練習しているときに家事をしたいと思います。
帰宅が遅く、子供が練習しているかどうかも分からないことも多くあるかと思います。
そんなときにでも「今日はピアノ練習できたの?」と明るく声掛けだけでもいいので行ってください。
「できた!」場合は「どんなことが出来るようになったの?」とか「どんな曲を弾いたの?また休みの日に聴かせてね」とか、話を1つ展開してあげてください。
「やってない」場合は「明日は出来るといいね」とか「明日一緒にやってみようか」とか、出来る限り叱らず、練習を促す声掛けをお願いします。
また、練習中に家にいて音が聴こえる場所にいる場合はほんのちょっとのことでも褒めてあげてください♫
「なんで練習してないの?練習しなさい!」はなるべく避けてほしい
なるべくおうちでは褒めておだててピアノへのテンションを高めておいていただきたいのです。
(もちろん性格はそれぞれですので、一概に言えませんが)
レッスンでは初めてのことをたくさん学び、出来ないことに何度も挑戦し、時には先生に厳しいことを言われます。
その上おうちで厳しく声掛けされるとどうでしょう…?
レッスンでたまに曲を弾きたがらない生徒がいます。
楽譜がびりびりにやぶれてしまっている生徒も。
おうちで何回も「できない」壁にぶちあたり心が折れてしまっている生徒です。
その上「練習しなさい!」では中々練習する気にならないのです。
そして「ピアノ楽しくない!辞めたい!ヤダ!」に繋がってしまいます。
ピアノの専門家はピアノの先生です。
ピアノに対する問題で、叱ったり、注意したりは先生の役割。
(礼儀に関してはご家庭内でもお願いいたします)
おうちでは一緒に楽しんで、壁にぶつかっていたら励まして、話を聞いてあげてください。
時には一緒に悩んであげてください。
週末には家族コンサートを行ってみる
中々普段練習に付き合ってあげられなくても週末の時間があるときに今弾けているだけのことで構わないので”家族コンサート”を行ってみてください。
一番身近な人に聴いてもらい、褒めてもらうことが子供にとって1番うれしいことです。
ピアノの楽しさの一つである「人に聴いてもらうこと」の経験が積めます。
その週末の家族コンサートに向けてまた努力することが出来ます。
”コンサート”ですが楽譜見ながらでも片手だけでも、途中まででもいいじゃないですか!♫
子供の小さいころ…何かうれしいことがあると「ママ、パパ見て~!!」と嬉しそうに見せに来たことありませんか?
中々そういうしぐさをしなくなりますが「親に褒められる」ってとてもうれしいことなんです。
レッスン後には子供に「先生」になってもらおう
レッスンが終わったらなるべく早く復習をするのが大切です。
人の記憶は20分後には約42%、1時間後には約56%を忘れてしまいます。
翌日には約75%も忘れてしまいます。
なるべくレッスンを受けた当日に復習をするようにしてもらいたいところ。
でも実際レッスンが終わって帰宅したらピアノの練習ができる時間ではないこともあると思います。
そんなときでも「今日どんなことやったの?」と楽譜を見ながら聞いてみてください。
そして何か新しい注意や印をみつけたら「これはなに?」と子供に説明してもらってください。
人に教えることで記憶が定着していきます。
正しい言葉でなくても子供の言葉でOKです。
ピアノは脳だけの記憶ではなく
- 目からの記憶
- 耳からの記憶
- 運動神経からの記憶
を使っています。
とても情報量の多いものを同時に処理していく必要があります。
しかしさまざまな情報からの記憶なのですぐ記憶を定着してしまえばしばらく忘れません。
練習が翌日になっても、復習さえしていればレッスンの内容をしっかり直すことができるでしょう。
毎日5分でもピアノの練習が定着するように…
ピアノの練習が出来ない1つの大きな理由が「練習が日常でない」ことが挙げられます。
練習が1日の生活スタイルに入っていないのです。
ピアノは少ない時間でも毎日の練習ができるようにしていきましょう。
例えば…
ご飯の前の10分。
学校から帰って遊びに行く前の10分。
おやつを食べた後の10分。
など、歯を磨くのと同じように毎日の当たり前にしていくことが大切です。
練習しない日が非日常の感覚になるように。
集中力はなくて当たり前。年齢+1分集中できたらOK
集中力はなくて当たり前だと思いましょう!
目安は年齢+1分!
それ以上集中が続いた場合は良しとしましょう。
集中を長く続かせる方法として、集中が切れだしたときにピアノを弾く以外のことを取り入れると良いです。
例えば、弾く→楽譜を読む→弾く→ワークをする→弾く→音符に印をつけてみる
など、1つのことではなくいろいろな動作を取り入れてみてください。
いつもピアノの習い事に向き合っていただき感謝しています
ここまで書きましたが、ピアノについて悩みがあるのも、しっかり向き合ってくれている証拠。
ピアノの習い事は日々の練習がカギを握っているので、おうちの方のご協力なしではできません。
門下生のおうちの方には本当に感謝しています。
中々、反抗期や思春期になると今回挙げた内容は通じなくなります。
その頃は「本人の気持ちがすべて」になり、周りは気づきの機会を与えることしかできません。
困っていることがあればなんなりとご相談ください。
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