ピアノの習い事はたくさんのメリットがあると言われています。
もっとも広く知られているのは「頭が良くなる」と言うこと。
確かに、ピアノを弾くには楽譜を見て、脳で瞬時に処理し、運動神経に命令を送ります。
ピアノの習い事は幼少期から始めることが多く、大人では時間のかかってしまうことも、脳の若いうちに習慣化することで、無意識にできるようになります。
今回は一般的に広くは知られていないけれど、現代社会を生き抜くのに必要な「自分で考え、決定する力」を身に付けられるというお話をしていきたいと思います。
多様化する現代に必要な”個”の力
現代社会はネットワークの発達で働き方もとても多様化しています。
特にここ最近では”個”のもつ力がとても大きな影響を持っている世の中になってきました。
一人一人の主張、個性が重視される。
一方で、学校では教えてくれない、自分で考えて決定していく力が大切になってきました。
一見、関係なさそうなピアノの習い事ですが、この現代社会を生き抜くために必要な力が身につく習い事です。
ピアノを習うことで考える力がつく
ピアノははじめこそ先生に教えてもらい、色んな知識を勉強していきますが、すぐに「自分で考える」ことを行います。
- 曲を音楽的に表現する
- 弾けていないところを自分で判断する
- なにが違うか考える
- 色々試してみる
こんなことに向き合うようになっていきます。
結局は音楽は芸術。
芸術には正解はなく、全てが正解で、全てが不正解。
よって、答えのないものを永遠と考え続けます。
ゴールはなく、自己満足してしまえばそこで成長は止まってしまう。
音楽とはそんな世界です。
答えのないものを追い続ける、求め続ける
答えに限りなく近いけれど、なにか違うな…
今のままでも悪くはないけれど、もっとよくするにはどうすればいいかな…
とずっと考え、挑戦し続ける必要があります。
学校で学ぶことはほとんどのものに答えが存在します。
自分で導き出せなければ、答えが存在するので確認が出来ます。
もしかしたら、誰かが代わりに答えてくれ、考えなくても済むかもしれません。
ピアノももちろん先生がいて、先生が限りなく正解に近いところまで教えることは出来ます。
しかし、「自分で考えて試す」という過程がなければ、ただ音を鳴らしているだけになってしまいます。
音楽はそこに意思があってはじめて人の心に残ります。
- ここはどんな気持ちで書いたのだろう?
- どんな音を出せば伝わるだろう?
- もっとふさわしい音が出ないかな?
なんでこの和音なんだろう?
大事な音はどれだろう?
曲は人の感情や、経験に直接かかわります。
その感情を経験したことがなければ表現することが出来ません。
そして曲を書くのは人間。
生まれてからの複雑な要因が深くかかわり、その人の人格を作ります。
感情を感じることは出来ても、その他の要因が大きく、完璧には再現できません。
「これであっているのだろうか?」と考え抜いて、出た答えも、数か月後、数年後、自分の人生が変わることで全く違う音楽が出来上がります。
自己満足してしまうと成長はない
自分の演奏に満足してしまうと、さらなる成長は望めません。
「何か違う気がする」と常に感じている方が、成長が出来ます。
有名ピアニストでも、他の人の演奏を聴いたり、レッスンを受けたりします。
それはなぜかというと、他の人の考えを参考にし、自分と違う考えはないか?と探す目的があります。
自分の潜在意識の中で、自分が気付けていない部分にも目を向けることが出来ます。
自分は絶対的な存在ではないということを理解しなければいけません。
想像力、創造力が必要な習い事
ピアノは音楽、音楽は芸術です。
芸術はクリエイティブな発想が必要です。
先生に言われたように、先生に言われたから、先生に…
というように、「先生」が主体ではある程度のところまでしか成長できません。
先生はあくまでサポート役。アドバイザー。
表現者が表現したいものを、上手く表現するために、テクニックや知識でサポートします。
先生は経験があります。
- その音色にはこういうタッチ
- その表現にはこのテクニック
- それに伴う体の使い方
- 音楽の解釈(楽譜の見方)
- 断片的な感情をつなげる方法
このようなお手伝いをしています。
そこに表現者の意志があるのが前提です。
ピアノを習い始めたその日から、一人の表現者。
想像力を豊かにし、創造力を身に付けていく必要があります。
先生はそれを支えて、受け止めて、底上げしていく役割です。
周りがみんなAと言っても、Bを考える力を
これからの時代は個の力。
その他大勢にまぎれず、意志をしっかり持つ必要があります。
例えば、みんながAを選んだときに、どうしてBじゃだめなのか?
AでもBでもなく、Cという新しい選択肢はないのだろうか?
こういう力が必要になっていくと思っています。
それが小さいころから身につくのがピアノの習い事。
表面上の「ピアノの習い事が良い理由」以外にもたくさんのメリットがあります。
しっかりと向き合えば、どんな人でも良い経験が積めます。
しかし、しっかりと向き合えば、です。
ピアノを習う時は目先の事ばかりに気をとらわれず、もっと先を見据えて気長に習いましょう。
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